戦後、愛知県には15社もの時計製造会社が有ったそうです。こちらの日比野時計製造もその1社です。時計にも流行が有り、宮型から文化型に向かう過渡期の設計です。見た目は最終的な文化型ですが、ムーブメントは数打ち式(半も鳴るタイプ)です。ちょっと珍しいですね。数打ち式は、振り子の左上から針金状のカム解除が有り、軽く押上ることでボンボンの数を進めることが出来ます。ボンボンの共鳴を止めるストッパー金具が有りますので、夜間や、隣室に響かない様にも可能です。この場合、カツカツと小さな音に成ります。サイズは、約40x21.5x11cm程度で文化型としてはコンパクトな1台です。写真6、7 の様に、ムーブメントを取り出して調整しました。不動の原因はスイングカムの軸位置ズレでした。適正位置に調整すると元気に動きました。ご覧の通り美しいムーブメントです。フロントドアの振り子側のガラスにはエンボス加工もされており、振り子の見え方に特徴があります。こんな慌しい世の中です。せめてお家ではゆったりとした癒される時間をお過ごし下さいませ。